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【第5回】ヴェネチア共和国が築いた世界遺産「城塞都市コトル」。

WRITER:高江 遊
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今回の撮影の舞台はヨーロッパでも東側に位置するスロベニア、クロアチア、ボスニア、モンテネグロという国々。日本政府観光局の統計によれば日本人がヨーロッパに旅行にいく場合、2017年5月時点ではイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペインの順で人気となっており、今回私が行った国に訪れる日本人はまだまだ少数ですが、だからこそあまり知られていない絶景と出合えるのです。そろそろ旅の終わり、ドゥブロブニクに到着します。

 次の絶景はアドリア海の最深部ともいわれるモンテネグロのコトル湾にある城塞都市コトルです。ボスニアのモスタルから南に進めば、コトルに直接向かうこともできます。この場合は3時間半のドライブになります。

 休憩をとりながらであれば、当日中にたどり着けない距離ではありませんが、私がクロアチアからスロベニアに入ろうとした際に失敗した時のように、国境によっては地元民しか通過できないようなところが多数あるようで、確実な情報がない場合は、入国した時の国境を使って出国するのが安全です。

 そして世界で最も美しい海岸の道路の一つとしても有名な8号線、通称アドリアハイウェイ(Adriatic Highway)を再びドライブして、あわよくばドゥブロヴニク旧市街の夜景を撮影したかったのと、モスタルに来る途中に気になる絶景があったので、コトルに直接向かうことはやめました。

 気になる絶景とはKravica(クラヴィツァ)の滝というところで、クロアチアからモスタルに来る時に使った幹線道路「A1」を引き返し、国境すぐ手前のところにあり、モスタルからは、約1時間ドライブすれば着く距離です。国境付近にあることから、クロアチア発のモスタルへのツアーでこの滝に立ち寄ることもあるようです。

いくつもの滝が連なる見事な景観

 私が訪問したときにはGoogle Mapには十分な情報がなく、このあたりに入り口があるはずだという「あたり」をつけて向かいました。しかし「A1」を降りてクラヴィツァの滝に向かう道を探したのですが、なかなか見当たりません。公衆回線の電波が入らず、GPSによる測位のみのナビゲーションだったので、ナビゲーションの反応も悪く、たどり着けそうな道をさまよっていたところ、草むらの中に突っ込んでいくように見えた車を発見しました。

 覚悟を決めて進入すると、急なカーブを何度か曲がりながら確実に下っていく道になっており、5分くらい進んでいくと滝のある公園につながるとても小さな駐車場に到着しました。すでに4台くらいは車が停まっていたと思いますが、正直この連載で訪問をおすすめ出来る道ではなかったように思います。

 車を停めて、降りるとすでに滝の音が聞こえていました。撮影機材を背負って音がする方向に向かって進むと、すぐにかなりの高さがいくつも連なる見事な滝壺が姿を現しました。そして前回の連載でご紹介したスクラディンスキ大滝のように滝壺の近くでは地元民が楽しそうに泳いでいました。

今は観光客というより地元民の憩いの場

 全体のスケールは大きいものの、一つひとつの滝は25メートル程度で勢いもそこまで強くないため、滝壺付近にも人が近づいていっていました。この時は強い逆光で、瀑布の部分は日陰になっていましたが、太陽光が瀑布にあたる午前中からお昼過ぎに撮影したら見事な作品に仕上がりそうです。

 日陰の瀑布を相手にスローシャッターによる表現を試してみたものの、あまり納得のいく作品には仕上がらなそうだったので、次回撮影に来るときに参考にするために構図を変えたカットを何枚か撮影して、駐車場に戻りました。帰り道が不安だったので、別の車が出て行くまで待って、その車の後ろにつける形で戻り、無事に草むらから抜け出しました。

10年後には一大観光地になるはず

 草むらを抜け出したところで、車を停めてコンディションを確認してみましたが、傷は確認できず、一安心です。これは日本国内でも同じ事ですが、フルカバー保険に入っているとはいえ、修理が必要な大きな傷がついてしまうと修理期間中に貸し出しができないことによるNOC(ノンオペレーションチャージ)がかかってしまうことがあります。

 レンタカーを借りるときにはフルカバー保険であるかどうか、英語が通じる緊急時の連絡先、NOCがかかるかどうかについては必ず聞いておくようにしましょう。

 草むらからでたところで、すでに目の前に「A1」が見えていたので、入り口を見つけてMetkovic(メトコヴッチ)国境に向かいました。ボスニアからクロアチアに入る国境は往路の時には混雑しているように見えたのですが、私が通過した時間帯はすでに渋滞は解消されており、なんなく通過できました。その分、反対側の車線が混んでいたので、お昼前後まではボスニアからクロアチアに入る人が多く、夕方以降は逆転するのかもしれません。

渋滞もなくすぐにクロアチアに入れました

 クロアチアに入り、T-Mobileの公衆回線の電波が戻りました。やはり安心します。そこから少し運転すると、アドリア海が見える場所にすごい規模の田んぼが広がっていました。なかなか写真ではお伝えしにくいスケール感なのですが、棚田を好んで撮影される方はきっと気に入ると思うので、ぜひ近くのサービスエリアで降りてみてください。

スケールの大きな田んぼが広がる

 サービスエリアを抜けるといよいよアドリア海が見えてきます。アドリア海沿いの8号線は冒頭でもご説明したとおり、「アドリアハイウェイ(Adriatic Highway)」として有名で、世界で最も美しい湾岸道路の一つといわれています。

 クロアチアは右側通行ですから、南下するとアドリア海を右手に素晴らしいドライブが出来ます。道中、余りに素晴らしい景色や不思議な景色が度々現れるので、その度に車を停めて写真を撮っていたら、日没が近くなってきました。

海の上に不思議な形状と組成の山が見える

 ちなみにアドリアハイウェイを南下していると、なぜか国境が見えてきます、これはボスニアの領土の一部がアドリア海に面していて、そこにネウムという街があり、ネウムを通過するときに一度ボスニアに入ることになるからです。

 ここではパスポートチェックはなく、ゲートを素通りするだけなので、渋滞はなかったのですが、初見だと動揺します。地図上ではネウムからそのままモスタルにも抜けていけるようですが、ある国境では管理が厳しく、ある国境では管理が緩いというのは大丈夫なのでしょうか。

 そうこうしている間に、真後ろに太陽が沈んでいきます。真後ろだけに見られないのが残念ですが、明日以降はしっかりと日没も撮影したいと思います。そこから運転すること約1時間で、ドゥブロヴニクの光が見えてきました。

 ドゥブロヴニクはプリモシュテンのように街全体が海に突き出しており、遠くからみると、まるで街全体が灯台のような役割を果たしているかのように煌々と輝いています。現代でさえもそう見えるのですから、昔、山を越えてきた旅人や、アドリア海を旅してきた船の乗組員達はさぞかし感動したことでしょう。

 ドゥブロヴニクに入ると、そのまま今日泊まる宿のある南側のツァヴタットに抜ける道と、旧市街に向かう分岐が登山道のあたりに現れます。ドゥブロヴニクに泊まらないとしても、できれば旧市街の夜景は撮影しておきたかったのですが、分岐からでも分かるほどの大渋滞が見えたので、今日は直接宿に向かうことになりました。

 ツァヴタットに向かう道もしばらく混雑しており、ゆったりとしたスピードで進みましたが、海沿いだけに常にドゥブロヴニクが右手に見えており、そのおかげでドゥブロヴニク周辺の道路と構図の関係が分かり、撮影ポイントに出来そうなところも発見しました。

 ノロノロと進み、30分ほどでツァヴタットに到着しました。宿に到着してゆっくり…と行きたいところなのですが、今日もそう簡単にはいかなそうです。ナビゲーションに従って今日泊まる宿の「Apartment Villa Lukas(Villa Luka's)」があるはずの場所についたのですが、レストランが一件あるだけで、宿らしき建物は一切見当たりません。

 レストランに入って宿の名前を言ってみるものの聞いたことがないと。前日のスプリトの宿の展開を思い出しました。宿に電話するものの、応答無し。再び焦り始めます。路肩に車をとめて、通行人を探していると、街の入り口から下ってきた現地人らしき女性を発見。

 この時間帯に話しかけるのは相当怪しいのではと恐れつつ、状況を伝えると、もしかしたらそのホテルかもしれないということで、目の前にあった周辺住民以外立ち入り禁止っぽい入り口の道路に案内されて、女性の後ろをつけるかたちで車を進めると、さらに奧にホテルらしき建物の光が見えます。

 車を降りて女性にお礼をいって、光のある方に向かいApartment Villa Lukasにたどり着けました。2017年10月現在Google Maps上でApartment Villa Lukasが表示されるようになっていますが、地図上の位置が間違っています。通り上にある三つの宿のうち一番手前にあるようになっていますが、正しくは一番奥の建物です。Google Maps側には修正依頼を出しておきました。

 駐車場はかなり停めやすく整備されていましたが、本当に出来たてといった感じです。車をとめると、オーナーらしき人がでてきて、そろそろ来ると思っていたとのこと。イタリアでは夜10時前後のチェックインはかなり遅い時間帯と扱われることが多いようで、私は予約時に到着時間を備考欄に必ず書くようにしています。

駐車場は広くて停めやすい。最近屋根ができたとか

 今回もオーナーが備考欄を見てくれていて、起きていてくれたようです。オーナーから部屋の鍵を受け取って、ようやくお部屋に入ることができました。オーナー曰く出来たてのホテルらしく、建物とお部屋は驚くくらい綺麗で、本当に昨日出来たかのような清潔さです。

白を基調としたインテリアで、清潔感があります
水回りも問題ありません

 見つけにくい場所にありますが、スプリトの宿と同じく場所さえ分かってしまえば、価格も安く、レンタカーで旅する人にはとても便利な宿だと思います。

 いつもどおり充電が必要なものをひと通りセットして、夕食を食べに行きます。夜10時を回っていたので、ここからレンタカーを使った移動はやめて、先ほど見つけたレストランに入ることにしました。

 レストランはRestaurant Logošというところで2階建ての可愛らしいデザイン。私は二回のオープンテラスの席へ行きました。何を食べてもおいしいクロアチアではありますが、ネット上にはクチコミがないレストランだったので、はずれがなさそうな肉料理を注文しました。可もなく不可もないお味でしたが、十分に空腹は満たされました。

まあまあなお味

 夕食をさっと終えて宿に戻り、カメラとレンズをクリーニングをして就寝…といきたいところですが、例の作業があります。Google Mapsを開いて、明日撮影にいくモンテネグロの地図データがダウンロードされているかどうかを再確認します。

 コトルは隣国モンテネグロにあるので、やはりT-MobileのSIMカードでは公衆回線の電波は入らず、GPSのみの測位で移動することになります。そうはいっても、道はほぼ分岐もない一直線なので迷うことはないと想定しています。

 

6日目

 昨日は宿に到着したのが遅く、寝るのも遅かったので、朝は8時くらいに起きて、用意されていた朝食をとって、9時半にチェックアウトをして、モンテネグロに出発しました。国境まで僅か20キロくらいの距離なので、30分ちょっとで国境に到着しました。大渋滞を覚悟していましたが、10時15分から出国ゲートに並んで入国ゲートを通過したのが10時42分とかなり短時間で抜けることができました。

 国境を通過してからコトルまでは直線距離で20キロくらいなのですが、コトルは世界でも希なくらい入り組んだ湾の奧にあり、レンタカーで移動する場合の距離は約50キロとなります。

 コトル湾はヘルツェグ・ノヴィ湾、ティヴァト湾、リサン湾、小コトル湾の4つの湾によって構成されており、目的地であるコトルの街は前述の3つの湾のさらに奧にある小コトル湾の奧になります。湾が幾重にも連なるこの地形が世界でも稀有な絶景を生み出しています。

 途中にKamenariという街と対岸の街であるLepetaneを結ぶフェリーがあるのですが、このフェリーを使った場合はティヴァト湾を横断し15キロ程度ショートカットになりますが乗降乗船を考えると時間短縮目的ならば良い手段ではなさそうなので私は利用しませんでした。湾沿いにある美しい街並みを通過していくと、右手にリサン湾の上に浮かんでいるように見える教会が見えてきます。これはペラストという街にある岩礁の聖母マリア教会(Our Lady of the Rocks)と呼ばれる有名な教会です。

 この日は午後から荒天の予報だったので、コトルへの移動を優先しましたが、コトルに行くツアーでは必ずと言って良いほど立ち寄る観光スポットなので、無料の駐車場に停めて写真を撮ると良いでしょう。

 ペラストを通過して20分くらい運転していると、ついにアドリア海の最深部にある世界遺産コトル旧市街が見えてきます。今回の撮影はコトル旧市街の撮影ではなく、小コトル湾とコトル旧市街を俯瞰し、コトルの類い希な地形を理解できる広角の構図です。

 そこで旧市街は通過し、Škaljariという町の奧にある山を目指しました。とはいっても旧市街から山までは数分の距離で、そこからU字のカーブを曲がりながら上を目指していきました。あまりのぼりすぎると旧市街と湾が小さくなっていってしまうので、ほどほどの場所が重要です。

 途中、塩梅がよさそうなところにちょうどレストランがあったため、車をとめてレストラン「Vidikovac」に入ってみました。まだ準備中とのことでしたが、目的と伝えると崖に突き出たテラス席に案内してくれました。

 狙っていたとおり小コトル湾とコトル旧市街が俯瞰できるのはこのあたりのようです。しかし、このテラスからの構図は手前の草木との距離が近い上にボリュームが多いので、空の開放感と比較して窮屈な印象を受けてしまうと感じました。

手前の草木はもうひと工夫したいところ

 そして写真のとおりかなり雲が増えてきており、私好みの表情ではあるのですが、天気予報のとおり、あと30分もしないうちに荒天になりそうなので、時間はあまりなさそうです。

 店主にはテラスに入れてくれたお礼をして、お店を出て、レンタカーでもう少し上にのぼっていったのですが、このレストランよりも上にいくと、どんどん街並みが小さくなって良い写真は期待できなさそうです。

 逆に少し下っていくと、左手に露店が見え、車を停められるスペースがありました。露店でお水を買って、横に出てみると、道路が良い味を出している構図を見つけました。

露店の真横から撮影。U字の道路が良い味を出しています。

 露店の近くを探し回っていたところ、ついに満足できる構図を発見しました。構図に窮屈さを与える余計なものがなく、右手の登山道が撮影ポイントの高さを説明してくれています。しかしここで、予想より早いタイミングで雲が広がってきて、小コトル湾とコトル旧市街がが陰に入ってしまいました。

湾と街に雲がかかってしまいました

 今日はもう無理かなと思ったところで、再び太陽光が雲の隙間から降り注ぎ、満足できる一枚が撮影出来ました。順光なのでPLフィルターの効きもばっちりで、青い空と荒天前のダイナミックな雲の表情が写真全体の魅力アップに貢献してくれています。

この一枚のためにコトルまでやってきました

 撮影を終えて、車の中で仕上がりを確認していると、ポツポツと雨が降ってきました。本当にぎりぎりタイミングでした。予報はにわか雨なので、この雨もしばらくすればやむだろうという予想で、旧市街の様子も撮影することにしました。撮影に集中していたのでもう13時を回っており、ランチも食べようと思います。

 車で旧市街までわずか10分。入り口付近の駐車場が空いていたので、そこに停めて車を降りると、城塞都市としてのコトルの姿が現れました。高くそびえ立つ城壁とその奧に見える山にまで伸びている長城は、この土地が歴史的にいかに重要な拠点となっていたのかが分かります。

そびえ立つ城壁が見えます

 まだ雨が降っているので、折りたたみ傘を差しながら旧市街に入ると、クロアチアやボスニアとはまた少し違う雰囲気の街並みが現れます。あえて言えば規模の小さいヴェネチアという印象でした。入り口に日本語ガイドも置いてあったので確保。

 公衆回線がないので、ランキングサイトは調べられませんが、少し人が入っているレストランが良いだろうと言うことで探していると、そこそこ人が入っていて、雰囲気の良さそうなホテル「モンテ クリスト(Hotel Monte Cristo)」のレストランを見つけて入ることにしました。

 レストランでは絞りたてのオレンジジュースとムール貝のトマトソースパスタを頂きましたが、どちらも美味しかったです。

飲みかけの写真ですみません

 日本人の一人旅は珍しいのか、お店の人が話しかけてきたので、これまで撮影した写真を見せると、ヴェネチアの写真に反応し、面白いことを教えてくれました。コトルは歴史的には400年くらいはヴェネチア共和国の一部で、旧市街の入り口にもヴェネチアのエムブレムがあるとのこと。

 お話しを聞いている間に雲が晴れてきて、強烈な日差しを感じました。明日の撮影もあるので、この日差しの中でレンズセットを背負って長城の一番上まで登ることは不可能だと思いましたが、無理のない範囲で登って市街を俯瞰する写真を撮ろうと思い、長城の入り口に向かいました。

湾の奧からみた長城の様子

 細くて狭い石造りの道はヴェネチアそっくりで、お話しを聞いた後だと尚更そのように感じてしまいます。とても小さな街なので、ものの数分で長城の入り口につきました。

 入り口からは石階段がえいえんと頂上まで続いています。よく見ると頂上まで登っている人がいるので、チャレンジする人もそれなりにいるようです。ただ頂上まで行ってしまうと、逆に旧市街が小さくなってしまうので、ほどほどの高さの場所が良いと思います。

レンズセットを背負って頂上まで登るのは厳しい

 私が撮影したポイントはChurch of Our Lady of Remedyというところで、頂上の入り口からは距離にして500メートル程度、高低差は80メートルのところにある教会です。

団体ツアーが来る場所でもないのでじっくり撮影できます
遠くからみた教会の様子

 この教会の前のスペースは足場もしっかりしており、三脚を広げても問題無い広さです。この場所から旧市街をみると「城塞都市」であることがはっきり分かります。

80メートル程度とはいえ俯瞰には十分な高さです

 大した行程ではないですが、この日は直射日光がきつく、なおかつにわか雨の繰り返しで湿度も高く疲労が早かったため、長居はせずに切り上げることにしました。この時点で午後3時半時でしたから、国境の大渋滞も考えると、ドゥブロヴニクに戻るのは夜になってしまう可能性もあります。

 駐車場に戻って、今日の宿を探します。私は初日と最終日の宿だけは予約して、その他の日は天候や撮影の進捗次第で前日か当日に予約することにしていますが、運良く最終日の宿と同じドゥブロヴニク旧市街近くのHotel Petka★の空室があり、価格も約8千円とリーズナブルだったので、すぐに予約しました。今回の旅での連泊は初めてなので、じっくりとドゥブロヴニクの撮影に取り組めそうです。

 午後4時半前に駐車場を出て湾沿いに来た道を戻り、一時間ほどで国境に到着。行きよりも相当規模の大きな大渋滞が発生していました。覚悟はしていたものの、通過に三時間もかかってしまいました。

渋滞にはまると流れている時よりも精神的に疲れます

 国境を過ぎると嘘のように流れが良くなりましたが、燃料が心許なくなってきたのと疲労感を感じたので、ガソリンスタンドでセルフ給油をして、アイスを食べてリフレッシュをしました。

クレジットカードは問題無く使えました

 そこから運転すること30分。美しいドゥブロヴニクの夜景が見えてきました。静かなアドリア海で強い輝きを放つその姿はその名の通り「アドリア海の真珠」と謳われるのに相応しい美しさです。いよいよ最終目的地のドゥブロヴニクの撮影が始まります。


モンテネグロ(状態都市コトル)編・おわり / 旅のメモ

 クラヴィツァの滝は私の体験だけ見ると危険な場所のように聞こえてしまうかもしれませんが、最近は滝の向こう側に道路が建設され、立派な駐車場が出来ているようです。これから訪れる方は私のような不安な思いをせずに辿りつけるはずです。この絶景が世界中に広まり、ボスニアの観光業が盛り上がり、発展の一助になれば良いなと思います。

 そして、Kravica(クラヴィツァ)の滝に行く際に草むらの中に突っ込んでいった判断は失敗だったと思います。実際には安全で正しい道でしたが、結果的にそうだっただけで、日も落ちかけていて良い写真がとれる可能性も低く、とるべきリスクではありませんでした。

 先に突っ込んでいった車がマフィアみたいな集団の車だったらどうなっていたのか。公衆回線がつながらないスマートフォンしかないのにどやって助けを呼ぶのか。草むらの先が崖だったらどうなっていたのか。辿り着いたところで、引き返す道が分からなかったらどうするのか。引き返している途中に対向車が来てしまったらどうするのか。冒頭の例は極端だとしても、それ以外は十分に遭遇しうるリスクだったと思います。

 撮影旅行のあとはレビューが重要で、良い写真が撮れた場合でも撮れなかった場合でも、その時の行動は正しかったかどうか冷静に評価し、次回の撮影につなげていくことが、休日写真家を続けていくためには大事なことだと思っています。ボスニアまで来たのだからという時間的・距離的な投資が、判断力を鈍らせてしまいました。

 モンテネグロでは幸いこのような際どい判断を必要とする場面はありませんでしたが、計画、実行、レビュー、次回へのフィードバックのサイクルをまわすことは、本業のサラリーマンの業務遂行の上でも役立つので、習慣として身につけられるように努力しています。

(写真・文=高江 遊)