東京おもちゃ美術館へ行ってきた!子供連れが楽しむためのポイント解説

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かつての小学校をリノベーションした「東京おもちゃ美術館」は、木の温もりを感じられる室内空間で遊べる体験型ミュージアムです。国内外から集められた良質なおもちゃを、実際に見て、触れて、遊んで、学べる、まさに赤ちゃんから大人まで世代を超えて楽しめる美術館です。今回はそんな「東京おもちゃ美術館」を実際に訪れて、見どころやおすすめの体験を徹底レポートします。

東京おもちゃ美術館とは?

都会の喧騒から一歩離れた、新宿区四谷の閑静な住宅街。その一角に、1935(昭和10)年創立、2007(平成19)年に閉校した歴史ある旧新宿区立四谷第四小学校を再利用した「東京おもちゃ美術館」があります。

もともと取り壊し予定だった同校舎ですが、地域住民からの熱烈な要望に応えて、一部をリノベーション。地域交流の拠点「四谷ひろば」のひとつとして、2008(平成20)年4月、NPO法人芸術と遊び創造協会(旧NPO法人日本グッド・トイ委員会)によって新たなスタートが切られました。

既存の11教室を使用し、ノスタルジックな雰囲気が漂う旧校舎の設備を活かして再構築。木のぬくもりが感じられる空間づくりと、おもちゃを通じて“多世代交流が楽しめる場”に生まれ変わっています。

館内のいたるところに国内外100ヵ国から集められた約15万点のおもちゃがあり、実際手に取って・触れて・遊んで・学べる体験型ミュージアムとなっています。

さまざまなおもちゃに触れて遊べるだけでなく、作って遊べる「おもちゃこうぼう」や、壊れたおもちゃを治してくれる「おもちゃ病院」、世代を超えて楽しめる各種イベントが人気を呼び、オープンから10年余りで年間入館者数15万人を突破。

コロナ禍は入館者数が激減したものの、多くの支援に支えられ、現在は海外から来たファミリーも多数訪れるほど人気のふれあいミュージアムとなっています。

東京おもちゃ美術館の運営を支えるのが、この赤いエプロンをしたボランティアスタッフの「おもちゃ学芸員」。

同NPO法人が認定する養成講座や「おもちゃコンサルタント」の資格取得を経て、晴れて“遊びのスペシャリスト”となったおもちゃ学芸員は、来館者とおもちゃをつなぐ架け橋として、遊びの可能性を引き出すお手伝いをしています。

おもちゃ学芸員の方々は、人と接すること、人を笑顔にすること、人に寄り添うことを心から楽しまれているという印象を受けました。そんなあたたかい学芸員らに見守られて遊べる環境は、子どもにとっても大人にとってもありがたいですよね。

東京おもちゃ美術館の理念に賛同し、おもちゃと遊びの文化を全国に広めるため、姉妹おもちゃ美術館も続々とオープンしています。

2023(令和5)年10月現在は、同館直営の沖縄国頭村、福岡市をはじめ、岩手県花巻市、東京檜原村、静岡県焼津市、長野県木曽町、香川県高松市、徳島県板野町、高知県佐川町、山口県長門市の1都10県、計12館となっています。

地域材を使用し、木のぬくもりや魅力を伝える「木育(もくいく)」を共通のコンセプトとする以外は、それぞれの地域が、郷土の自然、文化に応じた特色あるおもちゃ美術館を運営しています。

東京おもちゃ美術館の見どころを紹介

ここからは、東京おもちゃ美術館の主な見どころを紹介していきます。

 

・良質なおもちゃに出会える「グッド・トイてんじしつ」

東京おもちゃ美術館に入館してまず訪れるのが「グッド・トイてんじしつ」です。

「グッド・トイ(GOOD TOY)」とは、文字通り「よいおもちゃ」のこと。ここで言う「よいおもちゃ」とは、それを通じて五感が磨かれ、コミュニケーション能力を培い、夢を育てる可能性を秘めたものであること。加えて安全かつ健全であり、ロングセラー化も期待できるなどが求められています。

「グッド・トイ」は、毎年「おもちゃコンサルタント」2,000名の投票によって選ばれ、その歴代の受賞玩具の中から100点余りが展示されています。

当年の受賞玩具は1年間、この「グッド・トイてんじしつ」にて常設展示されます。

画像のおもちゃは2022年の「グッド・トイ大賞」に輝いたIDEA IKEDA社の「アルゴループ」。木製の筒状ループを持ち上げて上下させると、幾何学模様に沿ってビー玉が一定の法則に従ってクルクルと回転する仕組み。見た目にも美しく、独創性あふれるおもちゃです。

 

・貴重なおもちゃの歴史を学ぶ「きかくてんじしつ」

次に訪れるのは、館長が集めた海外100ヵ国10万点におよぶ収蔵品の中から、その年のテーマに応じたおもちゃを企画展示する「きかくてんじしつ」。ここでは、そのおもちゃの歴史を学んだり、普段は見られない国や地域の貴重なおもちゃが楽しめます。

2023年度のテーマは「世界の人形がんぐ」展。

日本でもおなじみの市松人形からフランス人形、ロシアのマトリョーシカをはじめ、呪術で使われそうなアフリカ系の木彫り人形や巨大ビーズ人形、ラテン系のカラフルで陽気な人形など実にさまざま。

中でも注目は、テディベアで有名なドイツの「シュタイフ社」が制作した女の子のシュタイフ・ドール。世界でも数少ない貴重な人形だそうですよ。
 

・楽しい遊びの宝庫!「おもちゃのもり」

こちらは、2階奥にある「おもちゃのもり」。靴を脱いで入室する部屋となっています。床やセンターハウス、すべての遊具には日本各地の木材が使用され、目に優しい無垢の色、肌に優しい触り心地、リラックス効果の高い木の香りに包まれ、まるで森林浴をしているような気分に浸れます。

中でも人気なのは、北海道産の広葉樹の木玉が2万個投入された「木の砂場」。木の玉は、よく見るとちょっといびつな丸い形をしています。少しいびつにすることで玉と玉の間を隙間なく埋めてくれる効果があるそう。

子どもたちはとても元気に夢中で遊んでいますが、大人が入るといろんなツボが刺激されて、違った意味で楽しめます。

ちなみに東京おもちゃ美術館が扱うおもちゃは、「面倒見の悪いおもちゃ」がほとんど。受け身でも楽しめる“面倒見の良い”テレビゲームやスマートフォンにはない、発想力・想像力・考える力を鍛えるおもちゃを選んで置いています。

どんな遊び方にも正解はなく、子どもの数だけ遊び方がある。そんな大事なことに気づかせてくれますね。
 

・おままごと遊びができる「おもちゃのまち きいろ」

ここからは3階の教室へ。続いて訪れたのは「おもちゃのまち きいろ」です。

この部屋のテーマは、木で作られた野菜の食材を使って、収穫(農場)から売買(お店)、食べる(食卓)までの一連の流れを体験する「ままごとごっこ遊び」です。

そのほか、物理学などを応用した科学おもちゃの「サイエンストイ」やドイツ製のユニークな玉転がし「クーゲルバーン」など、国際色豊かなおもちゃも展示されています。

ちなみに、中央にそびえる「MUSIC」タワーには世界の楽器が展示されていますが、ゆくゆくはぶどうや梨などを吊り下げた果物の樹に生まれ変わるそうですよ。
 

・昔懐かしい遊びにワクワク!「おもちゃのまち あか」

次に「おもちゃのまち あか」は、その名の通り、日本の伝統色の一つである「赤」に染まったおもちゃの部屋。

独楽(コマ)やお手玉、組み木細工、土のおもちゃに大型しりとりなど、昭和レトロで昔懐かしい郷土の玩具が体験できます。

この部屋の一角には、琉球玩具のコーナーが設けられています。沖縄国頭村の「やんばる 森のおもちゃ美術館」は東京おもちゃ美術館直営であり、姉妹おもちゃ美術館第一号でもあるため、そのご縁から沖縄のおもちゃが展示されているのです。

画像は、そのうちのひとつで、適当に叩いてもなぜか琉球音楽っぽく聞こえてしまう琉球木琴。種類の異なる木の密度、堅さを利用して、「ドミファソシド」の6音から構成される琉球音階を再現、2012年の「グッド・トイ」にも選ばれています。

さらに赤の部屋の一角に設置された小さな茶室「四谷庵」では、定期的に茶の湯の文化が体験できるお茶会が実施されています。
 

・定番ボードゲームが揃う「ゲームのへや」

こちらは、レトロでアナログな定番ゲームのオセロや囲碁、将棋、さらにゲーム大国ドイツを中心とした世界各国のボードゲームを集めた「ゲームのへや」です。

単純そうで意外と手ごわい、かわいいけど侮れない、大人も子どもも楽しめるアナログゲームが揃っています。

こちらは人気の「テーブルサッカー」。東京おもちゃ美術館唯一の1回100円で楽しめる有料ゲームとなっています。

このテーブルサッカーを含め、日本を代表するプレーヤーを招いた各種ゲームイベントも定期開催されています。

さらに見どころは、木のおもちゃづくりで有名な株式会社グランパパ(創始者・故津川雅彦氏)から寄贈された5つのブリキのおもちゃです。

中でも圧巻なのは、フランス人アーティストによって1987(昭和62)年に製作されたブリキのオートマタ「サンタクロース号」。精巧な造りに夢のあるデザインで、クリスマスの時期だけ、ブリキの一部の電灯を灯すイベントが開催されるそうですよ。

 

・楽しい工作で創造力を育む「おもちゃこうぼう」

3階奥の部屋は、紙コップや紙皿、牛乳パックなど、身近な材料と道具を使ってものづくりを楽しむ「おもちゃこうぼう」です。

毎月変わる「本日の手作りおもちゃ」は原則毎日実施で参加費無料。ただし、木製ペンダントなど一部の工作は有料となっています。

大人も子どもも、おもちゃづくりに真剣で夢中!作り方を覚えたら、ぜひ家でも遊んでみてくださいね。
 

・イトコノで自由なものづくりにチャレンジ!「いとのこや」

3階の「おもちゃこうぼう」内に併設された電動イトノコ専用ルーム「いとのこや」。

小学4年生から体験できるイトノコは、主に国産ヒノキ材などを使って「モンスター」「トラック」などの形や、お子様の手形、足形をくり抜いて楽しみます。

参加費は木のサイズによって500〜1,200円に分かれ、定員25名、土日だけの開催となっています。
 

・安全で優しい大型おもちゃがある「赤ちゃん木育ひろば」

こちらは1階に用意された、0歳から2歳児までの赤ちゃんを対象とした「赤ちゃん木育ひろば」。国産の杉材をふんだんに使用しており、木のぬくもりや香りが感じられる、親子で和める空間を目指して設計されています。

特筆すべきはこの床板。杉のすぐれた断熱性と保温効果を活かして、杉板の厚さは一般的な床板の2倍以上となる3cmを使用。これにより、まるで床暖房を入れているかのような暖かさが保たれています。

動きが活発になる3歳以上のお子様(兄弟含む)は入室NGとなっています。そうした赤ちゃんへの安全面の配慮も含めて好評を博し、今では毎日100組近い親子で賑わっています。

室内に散りばめられた、何だか丸っこくてふしぎな形の造形物「スギコダマ」。

これは造形作家 有馬晋平氏の作品で、アートでありながら実際に木に触れて遊べる道具として「赤ちゃん木育ひろば」のモチーフとなっています。

「スギコダマ」は「杉の小玉」であり「杉の木霊」でもあるもの。長い年月をかけて成長した杉を削り出して生まれたスギコダマは、木の記憶そのもの。そんな木々との対話を楽しみ、人それぞれの自由な発想で楽しんでもらいたいという想いが込められています。

赤ちゃんが口に入れた木のおもちゃは、一つひとつ丁寧に洗って消毒・乾燥しています。徹底した衛生管理も安心ですね。
 

・館内で楽しめる貴重なおもちゃたち!

おもちゃの世界は、廊下や踊り場にまで広がっています。

こちらは、3階廊下の突き当りに展示された外国製の木馬。これは、愛馬家として知られた英国女王エリザベス2世の愛馬・ティンカーベルを模した、世界でも100体しかない貴重な木馬と言われています。

コロナ禍前までは毎月1回、乗馬イベントが開催されていましたが、現在は休止中。近い将来、再開されるのが楽しみですね。

こちらは「親と子が一緒に本を読む椅子」と題された実際に座れる椅子作品。こんなかわいらしいベンチに座ったら、大人も子どももワクワクすること間違いなし。写真に撮りたくなりますね。

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