東京国立博物館 1年を通して楽しめる総合文化展の魅力を徹底取材!

  • 4842 |

東京国立博物館は、日本で最も長い歴史をもつ博物館です。日本と東洋の美術品や考古品など、さまざまな文化財について収集、保存、修復、管理、展示、調査研究などを行っています。特別展はテレビや雑誌などでもクローズアップされますが、実は東京国立博物館、総合文化展(常設展)がすごいんです!1年通して楽しめる、東京国立博物館の総合文化展についてご紹介します!

上野公園噴水の向こうに、巨大な建物が

JR上野駅の公園口を降りて、上野公園に入ります。広場の噴水の向こうに見えるのが東京国立博物館の本館!とにかく大きいです。

東京国立博物館の敷地は非常に広大で、敷地内には本館、平成館、東洋館、表慶館、法隆寺宝物館、資料館、また、隣接する黒田記念館があります。総合文化展があるのは本館、平成館、東洋館、黒田記念館。表慶館は特別展、イベント開催時のみの開館です。法隆寺宝物館は2016年3月14日まで休館中となっていました。

知らなかった!実は毎週展示替えしてます

文化財の収蔵件数は11万4,000件にものぼり、常時約3,000件の展示を行っています。収蔵品のうち国宝は87件、重要文化財は634件と、質・量ともに日本一を誇るコレクションです。

そしてこの展示、実は毎週月曜日の休館日に「展示替え」を行っているのだそうです。知らなかった!1年を通してずっと同じものを展示しているのだとばかり思っていました。すべての展示を変更しているわけではありませんが、ほぼ毎週どこかしらは必ず変わっているのだそうです。

「展示・催し物のご案内」というリーフレットには、東京国立博物館が所蔵している名品がいつ展示されるのかが記載してあります。ホームページでも展示のスケジュールが公開されているので、チェックしてからいくのもおすすめです。

展示されている作品については、基本的にフラッシュをたかなければ撮影OK。外部から借りてきた作品など、一部撮影禁止のものもあるので注意が必要です。

刀剣は必見!本館「日本ギャラリー」日本の美術をあますところなく展示

基本的に「特別展」と記載のあるもの以外は、通常の観覧料のみで見ることができます。まずは本館から見ていくことにしました。

公式キャラクターの「トーハクくん」(左)と「ユリノキちゃん」(右)。トーハクくんは「埴輪 踊る人々」が、ユリノキちゃんは本館前にあるユリノキの葉がモチーフになっています。ちなみに「トーハク」は東京国立博物館の愛称です。

重厚な本館は昭和13年に開館したもの。中に入るとその天井の高さ、階段や柱などの重厚さをより感じられます。

1階は「ジャンル別」展示、2階は「日本美術の流れ」と分かれています。最初にまず2階から見ていくことにしました。

本館2階:時代ごとに日本の美術の変遷を追う「日本美術の流れ」

ここでは縄文・弥生・古墳時代から江戸時代までの日本美術について、時代を追って見ていくことができます。

見ていくといきなり国宝があらわれます。これは奈良・興福寺の地中から見つかった「興福寺鎮檀具」。お寺を建てる前にその土地に埋めて、土地の気を鎮める役割があったそうです。

国宝 金銅大盤(興福寺鎮壇具のうち) 奈良市興福寺中金堂須弥壇下出土 奈良時代・8世紀
通年展示

つきあたりの部屋は「国宝室」。ここでは主に書画・屏風を中心に国宝を展示しています。展示はだいたい1か月ごとに変わり、1年間で12種類の国宝を見られます。

平安、鎌倉、室町と展示室が続き…

「武士の装い」の部屋へ。

紅糸威二枚胴具足 江戸時代・17世紀
2015年12月23日(水・祝)まで展示

この部屋は特に海外の観光客から人気があるそうです。そして最近では、若い女子も急増中…。そのわけは、こちらです。

重要文化財 太刀 大和物(号 獅子王) 平安時代・12世紀
2015年12月23日(水・祝)まで展示

きらりと美しく輝く刀。刀を擬人化した「刀剣乱舞」というゲームの影響で、刀剣を愛でる「刀剣女子」が増加しているそうです。

名品・仁清の壺もすぐそこに

「暮らしの調度」の部屋にもさらりと名品が展示されていました。江戸時代の陶工・野々村仁清による「色絵月梅図茶壺」です。

重要文化財 色絵月梅図茶壺 仁清 江戸時代・17世紀
2016年4月17日(日)まで展示

気をつけていないと見落としてしまいそうです…!

浮世絵にも季節感が。取材時は12月だったので、「忠臣蔵」の展示がありました。

忠臣蔵・十一段目 勝川春英筆 江戸時代・18世紀
2015年12月23日(水・祝)まで展示

ぐるりと1周したら、今度は1階に向かいます。と、気になったのがこの扉。

これは皇族の方や国賓がいらっしゃった時などに休憩される貴賓室だそうです。この隣にあったのが、「高円宮コレクション室」。世界的にも有名な現代根付の収集家だった高円宮さまのご遺志によって誕生したとのことです。

とても精巧な技術で作られた根付がずらりと並びます。貴賓室の一部を改装して展示室にしていて、他の展示とは違った雰囲気で楽しめます。

本館1階:さらに詳しく日本美術を知る「ジャンル別展示」

2階では時代別の展示でしたが、1階では「彫刻」「漆工」「金工」「刀剣」など、ジャンル別に部屋が分けられています。

重要文化財 伝源頼朝像 鎌倉時代・13~14世紀
2016年1月17日(日)まで展示

鎌倉時代の木彫、「伝源頼朝像」。教科書で見たことがある人も多いのでは?

重要文化財 文殊菩薩騎獅像および侍者立像 康円作 奈良・興福寺伝来 鎌倉時代・文永10年(1273)
2015年12月13日(日)まで展示

彫刻の部屋のつきあたりに展示されていた「文殊菩薩騎獅像および侍者立像」。今にも動き出しそうな迫力があります。

「漆工」の部屋には蒔絵の硯箱などを多数展示。この部屋は外国人の割合が高かったです。繊細な技に魅せられる人が多いのでしょうか。

重要文化財 砧蒔絵硯箱 室町時代・16世紀
2016年1月31日(日)まで展示

ラウンジで休憩もできます

ずっと真剣に展示を見ていると、少し疲れてきました。すると、こんなラウンジを発見。正面入口からちょうど真裏の場所にあります。

ここからは外のテラスに出ることもできます。思い思いにのんびりと休憩しましょう。

「保存と修理」という文化財の保護についての展示がある部屋から、隣の平成館への連絡通路があります。次は平成館に行ってみます。

平成館「日本の考古」2015年にリニューアルした展示室へ

平成館の2階は特別展専用の展示室、1階には考古展示室、企画展示室、ラウンジ、ドリンクコーナーなどがあります。なかでも考古展示室は、2015年10月にリニューアルして見やすくなったと評判です。

早速入ってみます。

国宝 埴輪 挂甲の武人 群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀

入り口では、埴輪としては唯一の国宝「挂甲の武人(けいこうのぶじん)」が出迎えてくれます。「トーハクのプリンス」とも言われているこの埴輪、よく見るとイケメンかも。

考古展示室は、旧石器時代から縄文、弥生時代を経て、最も新しいものは江戸時代までの展示を行っています。

たくさんの土器や、ユニークな埴輪などが次々とあらわれ、ついつい立ち止まって見てしまいます。

(左)筒型土偶 神奈川県横浜市稲荷山貝塚出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年(個人蔵)
(右)重要文化財 ハート型土偶 群馬県東吾妻町郷原出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年(個人蔵)

注目のVIPルーム

展示室内には、わずか2件の作品のためだけのミニ展示室があります。名づけて「VIPルーム」。

(左)重要文化財 石人 福岡県八女市吉田 岩戸山古墳出土 古墳時代・6世紀
(右)国宝 銀象嵌銘太刀 熊本県玉名郡和水町 江田舟山古墳出土 古墳時代・5~6世紀

ここに展示されているのは考古品の中でも非常に貴重なもの。左は重要文化財の「石人」。北九州の一部の古墳にしか見られない独特な像です。右は国宝の「銀象嵌銘太刀(ぎんぞうがんめいたち)」。太刀に刻まれた銘文と絵がいまでも鮮明に残っています。

埴輪が近い!

展示室内でひときわ目を引くのは、ずらりと並んだ埴輪の展示。通常の作品はガラスケースの中に入っていますが、この展示台はガラスで覆われておらず、作品との距離が非常に近くなっています。もちろん手を触れるのは厳禁!ですが、間近でじっくりと楽しめます。

見たことない?初展示の作品も

いままで所蔵されていたけれど展示の機会が少なかった作品も、今回のリニューアルで登場しました。それがこの「板碑(いたび)」。中世、関東を中心に武家の供養塔として作られていたもので、現代のお墓で見られる木製の卒塔婆につながっているのだそうです。

作品の魅力が光る展示

他にも、巨大な焼き物である「鴟尾(しび)」などの迫力にも驚き。これはお寺の屋根の両端に飾られていたもので、しゃちほこのようなものというとわかりやすいでしょうか。

鴟尾 大阪府柏原市 鳥坂寺跡(高井田廃寺)出土 飛鳥~奈良時代・7~8世紀

江戸時代のお金の展示もありました。これはレプリカを持って小判の重さを体感できるコーナーです。真ん中の寛永通宝は、なんとレプリカではなく本物だそうです!

日本美術とはまた違った魅力を満喫して、再度本館に戻ります。

教科書に載っていた絵を発見!

平成館から戻って、日本ギャラリー「ジャンル別展示」の最後の部屋をチェックします。北の丸公園内には国立近代美術館があり、貴重な日本の近代洋画を収蔵していますが、ここ東京国立博物館にある作品も名品揃いです。

人が集まっている所に行ってみると、こちらの絵がありました。

重要文化財 麗子微笑 岸田劉生筆 大正10年(1921)
2016年2月21日(日)まで展示

岸田劉生の作品「麗子微笑」です。美術の教科書で見た方も多いのではないでしょうか。教科書やテレビなどで見た有名な作品が実際に目の前にあると、なんだか不思議な気分になります。

オリジナルグッズ目白押し!ミュージアムショップ

本館最後の部屋、ミュージアムショップです。

ミュージアムショップで販売しているのは、ほとんどが東京国立博物館のオリジナルグッズです。その中でも人気のグッズをご紹介します!

オリジナル缶のお菓子

葛飾北斎の「冨嶽三十六景・凱風快晴」がプリントされた資生堂パーラーのチョコレート(1,350円)、菱川師宣の「見返り美人図」や尾形光琳の「風神雷神図」が缶になった神戸風月堂のゴーフル(単缶400円、3缶セット1,296円)などは、定番人気。ちょっとしたプレゼントにも喜ばれそうです。

トーハクくん・ユリノキちゃんグッズ

とぼけた雰囲気がかわいいトーハクくんとユリノキちゃん。オリジナルメモ帳(486円)やクリアファイル(270円)、クッキー(378円)などさまざまな品が揃います。

埴輪「踊る人々」グッズ

東京国立博物館所蔵の埴輪「踊る人々」。教科書などで見たことある人も多いのでは?

埴輪 踊る人々 埼玉県熊谷市野原字宮脇 野原古墳出土 古墳時代 6世紀
2016年1月2日より展示

この埴輪「踊る人々」をモチーフにしたグッズも大人気です。特にとぼけた顔が全面に押し出される「はにわソックス」はネットで話題になり、一躍大人気になったそうです。大人用(432円)と子供用(400円)があります。

オリジナル手ぬぐい

作品をモチーフにしたオリジナル手ぬぐい(972円~1,404円)も人気です。40種類以上の柄があります。

こちらは見返り美人図の着物の柄をプリントしたもの。粋な雰囲気です!

その他にも500種類を超えるポストカードや、リアルなフィギュアなど、東京国立博物館らしいグッズが満載。ついついいろいろ買いたくなってしまいます。

お正月は東京国立博物館に行こう!

名品揃いの東京国立博物館ですが、お正月は貴重な品々が一挙に公開される「博物館に初もうで」が開催されます。特に1月2日(土)から1月17日(日)の2週間には、葛飾北斎筆「冨嶽三十六景・凱風快晴」「冨嶽三十六景・神奈川浪裏沖」をはじめ、国宝の長谷川等伯筆「松林図屏風」など貴重な品々が展示されます。

冨嶽三十六景・凱風快晴 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀
展示期間 2016年1月2日~1月17日
冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀
展示期間 2016年1月2日~1月17日
国宝 松林図屏風 長谷川等伯筆 安土桃山時代・16世紀
展示期間 2016年1月2日~1月17日

その他にも、2016年の干支・申にちなんだ申の絵や彫刻なども展示。新春気分を盛り上げます。

猿猴図 狩野山雪筆 江戸時代・17世紀
展示期間 2016年1月2日~1月31日

お腹が空いたらレストラン・カフェで休憩を

東京国立博物館にはレストランやカフェが4つあります。店舗ごとにその魅力をご紹介します。

ホテルオークラレストラン ゆりの木

東洋館別棟1階にある、あのホテルオークラ系列のレストランです。1,004円の五目つゆそばが人気だそうです。

ホテルオークラ ガーデンテラス

こちらもホテルオークラ系列のレストラン。法隆寺宝物館1階にあります。1,534円のビーフストロガノフや各551円のホテルオークラ特製ケーキなどのメニューが幅広くあります。

上島珈琲店 黒田記念館店

黒田記念館別館にある、上島珈琲店の系列店舗です。有名な黒糖ミルク珈琲(410円)や厚切りベーコンのクラブハウスサンド(520円)などを食べられます。

鶴屋吉信 売店

平成館ラウンジにあります。平成館にて特別展が開催されている時にのみ営業しています。つぶあんを贅沢に使ったあんトースト(540円)やアイスクリーム(432円)を楽しめます。

アクセスをご紹介!

駐車場は?車を利用して行く場合

首都高速道路上野線「上野出口」から約5分

東京国立博物館に駐車場はないので注意が必要です。近隣のコインパーキングを利用しましょう。

最寄り駅は?電車を利用して行く場合

  • JR「上野駅」公園口またはJR「鶯谷駅」南口から徒歩約10分
  • 東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」から徒歩約15分
  • 東京メトロ千代田線「根津駅」から徒歩約15分
  • 京成電鉄「京成上野駅」から徒歩約15分

貴重な品々を気軽に見られる東京国立博物館の総合文化展。総合文化展は、特別展のチケットを持っている人もあわせて見ることができます。いつ行っても面白い、行くと何度も行きたくなってしまうこと間違いなしの展示です。次のお出かけの候補に入れてみませんか?

取材・文 藤井みさ

ページTOPへ

「上野・御徒町」周辺の関連記事

このページのTOPへ