柴又帝釈天を参拝!レトロな雰囲気の下町をぶらり散歩してみよう

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映画『男はつらいよ』の世界観と下町ロマンが感じられる街・東京都葛飾区柴又。「柴又帝釈天(しばまたたいしゃくてん)」は、そんな下町の情緒を感じながら過ごせる場所にあります。最寄駅である柴又駅から続く参道には、草団子やせんべいを味わえる老舗店が軒を連ね、地元の方々と交流して人の温もりを感じられる地域性も魅力です。ゆっくりと参拝したくなる柴又帝釈天の見どころや、参道の特徴・楽しみ方を探っていきましょう。

柴又帝釈天とは

柴又帝釈天の正式名称は、「経栄山題経寺(きょうえいざん だいきょうじ)」という日蓮宗のお寺です。題経寺は、寛永6(1629)年、開基の日栄上人が柴又に寄った際に、立派な枝を持つ松と、その下に霊泉が湧いているのを見つけ、庵を設けたのが始まりといわれています。

日栄上人が心を奪われた松は、参拝者を出迎えるように広がる「瑞龍のマツ」。この松は、平成28(2016)年3月11日に東京都指定天然記念物に指定されました。堂々たる姿に、二天門を通った途端に「なんて見事な松の木なんだろう」と感動している参拝者の姿も見られました。

題経寺のご本尊は、「帝釈天の板本尊」。片面に南無妙法蓮華経のお題目、両脇には法華経薬王品の経文が彫られ、もう片面には右手に剣を持った帝釈天の姿が彫刻されています。

中世には所在不明となったこともありましたが、本堂修復の際に1枚の板本尊が発見されたそうです。見つかったのが安永8(1779)年の春、庚申(かのえさる)の日だったことから、「庚申」が縁日となりました。庚申日になると、帝釈天の板本尊が開帳され、誰でも帝釈堂に入ってご本尊前で参拝できます。

まずは本堂を参拝しよう

賑やかなお店が並ぶ帝釈天参道。つい観光したくなりますが、最初に帝釈天を参拝するのがマナーです。まずは二天門をくぐって参拝に向かいましょう。


・境内入口に聳え立つ「二天門」

境内の入口にある二天門。まずは合掌して二天門から入ります。

二天門は、明治29(1896)年に江戸期最後の名匠と名高い坂田留吉棟梁によって造りあげられました。帝釈天の配下の四天王のうち、右側に南方守護の増長天、左側に西方守護の広目天が安置されています。

日光東照宮の陽明門(ようめいもん)を模したといわれ、施された木彫りが実に見事。二天門のあちこちには、帝釈天の使いといわれる猿の姿が彫刻されているので、ぜひ探してみてくださいね。

 

・「浄行菩薩」にご挨拶をしよう

境内は左回りで回るのがルールです。地・水・火・風の4大のうち、「水大」を現わす浄行菩薩(じょうぎょうぼさつ)に、まずはご挨拶をしましょう。身についた穢れを落とせるご利益があることで知られる菩薩様です。

 

・映画でも馴染み深い「御神水」

帝釈堂に行く前に、御神水で体を清めましょう。こちらの御神水は、映画『男はつらいよ』の主人公 寅さんが御神水を産湯としてつかったことでも有名です。

 

・ご本尊を祀る「帝釈堂」

日蓮大聖人が、“生きとし生けるものの病を無くすために願いをかけて刻まれた”といわれる「板本尊」を祀る帝釈堂。仏教における天のひとつ「忉利天(とうりてん)」にあると考えられる帝釈天の居城を、現世で拝礼できる場所です。

お堂の正面に飾られた荘厳な額縁には、喜びが現れる城という意味をもつ「喜見城」と書いてあります。

二天門と同様に坂田留吉棟梁が仕上げた総欅(けやき)造りの建物で、周囲には法華経説話に関する彫刻が施されているのが見どころ。お堂の中を眺めていると、時間が経つことを忘れそうになる不思議な空間でした。

帝釈堂の参拝を終えたら、次は右手に見える祖師堂を参拝しましょう。現在の帝釈堂ができる前に、江戸の人々から信仰を集めていました。明治時代に大修理がおこなわれて、現在の祖師堂になったそうです。

参拝後は御朱印をいただこう

御朱印(300円)は、帝釈堂内の右側受付でいただきます。現在は御朱印の直書きを休止しているため、書置きのみとなります。シンプルで素敵な御朱印です。

お守りやおみくじは、二天門を入って右側で購入できます。対面で購入するほか、御守自動頒布機でもいただけます。今回は寅さんにちなんで「寅さんおみくじ」を試してみました。「寅さん」のテーマソングが流れてきて、気分が盛り上がります。

おみくじの結果は、なんと大吉でした。「こころに残る寅さんの言葉」のほか、「柴又帝釈(釋)天からの教え」などが記されたユニークなおみくじ。寅さんのスーツ柄が刻まれた見た目もかわいいので、ぜひ訪れた記念に引いてみてはいかがでしょうか。

美しい木造建築に癒される!「大客殿」を散策

帝釈天境内にある「大客殿」は、昭和4(1929)年に完成した大規模な木造建築。帝釈天を訪れる信徒の接待所として設計されたものです。材木はすべて良質な檜(ひのき)で作られており、これほど大きな木造建築物は現代では再現できないといわれるほど貴重な建物です。

広さ150坪を誇る敷地内には、歴史的な建築や彫刻ギャラリー、美しい庭園「邃渓園(すいけいえん)」など、多くの見どころがあります。受付は祖師堂の奥にあるので少しわかりにくいですが、帝釈天の参拝後にぜひ立ち寄ってみましょう。

まずは入口でチケットを購入しましょう。彫刻ギャラリーは受付の右手側、邃渓園は受付の左手側にあります。拝観料は大人400円、小中学生200円。最初は彫刻ギャラリーから回ってみました。

大回廊を通って彫刻ギャラリーの入口へ。二天門の彫刻も素晴らしかったのですが、こちらの展示作品も圧巻のひと言!木彫りならではの立体感があり、龍も天人も今にも動き出しそうな躍動感を感じられます。

これらの彫刻は、16世の日済上人の発願によって製作が開始されました。名匠・加藤寅之助師が大正11(1922)年に「法師守護の図」を彫り上げたことを始まりに、東京在住の名人彫刻師たちが集まり、日夜製作に励みました。途中、関東大震災で彫刻材が燃えてしまうなどの災難に見舞われたものの、昭和9(1934)年に無事すべての彫刻が完成しました。

「法師守護の図」は、修行する法師のことを天人や阿修羅が協力して守護する様子が描かれています。欅(けやき)に細部まで彫り込まれた彫刻はとても美しく、巨大な松の木が印象的に表現されています。

「法師修行の図」も興味深い彫刻のひとつ。インドでは法師たちは森や洞窟で修行するそうで、修行中に獰猛な虎や狼などに襲われてしまう危険性があります。修行者を励ますために、仏様や像に乗った菩薩様が出現している様子が見事に表現されています。

土台部分にも一匹一匹の龍が彫られていて、どこを見ても美しい彫刻に目を引かれます。

日差しや天候、時間、撮る角度によって表情を変える彫刻は、写真愛好家にも好評とのこと。写真撮影を楽しむ多くの人で賑わっていました。

彫刻ギャラリーにはほかにも大迫力の彫刻が多数あるので、ぜひお気に入りの作品を探してみてください。
 

・美しい日本庭園に癒される「邃渓園」

次は受付のほうに戻って邃渓園に行ってみました。庭園側は自由に散策・撮影できますが、室内は撮影禁止。こちらではお見せできませんが、貴重な芸術作品の数々が飾られています。日本画の巨匠・横山大観筆の「群猿遊戯図(彫刻下絵)」などもあり、思わず見入ってしまうはずですよ。

室内から外につながる場所には休憩スペースがあり、椅子に座ってゆっくりと庭園の景色を眺められます。廊下や居室は趣のある畳の空間で、歩いているだけで落ち着いた時間を過ごせるのが魅力。ガラス障子の先に広がる美しい日本庭園や廊下に並ぶ彫刻原型など、和を感じられる見どころが多くあります。

建物から眺める庭園はとても美しく、草木にも手入れが行き届いています。人々に愛される庭園を維持するために、庭師が日々手入れを欠かさずにおこなっているそうです。のんびり見入っていては、時間がいくらあっても足りなくなってしまう、そんな癒しに溢れた庭園です。

庭園を囲むように作られた回廊は、昼時の散歩にはちょうどいいコース。違う場所から庭園を眺めると、また異なる自然の表情が見られます。大きな池では、優雅に泳ぐ鯉の姿を間近で見られますよ。

庭園内にはぽつんと佇む猿の像の姿も。とても絵になるかわいらしい像なので、ぜひ散策時に探してみてください。彫刻ギャラリーでは彫刻芸術の美しさを、邃渓園では四季の美しい自然を楽しめる大客殿。参拝後に訪れれば、心身ともにリフレッシュされるはず。日々の喧騒を忘れてゆっくり過ごしたい方にはおすすめです。

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